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建物を計画・設計していく中で、初期段階で工事費を算出する際には、これまでの知識に加え、最新の動向や相場観を考慮しながら、坪当たり(1坪=約3.3㎡)いくらで算出するかを検討します。
これはあくまでも概算ではありますが、施主様が描いている総事業費の感覚と、実際に想定される工事費との乖離を把握する上では非常に有効です。
あまりにも金額がかけ離れている場合には、建物の規模を縮小するか、最悪の場合には事業の延期・中止につながるケースもあります。実際に、近年ではそのようなケースも多くなっていると感じています。
工場や倉庫などは、一般的な事務所などと比較すると、大きな空間での執務になるため、部屋数は少なくなります。
そのため、以前は設備関係、たとえば空調・換気・電気なども少なくなると思っていました。
ここで「思っていました」という表現を使ったのは、過去においては、工場や倉庫内に空調設備を設置しないケースもあったためです。
しかし昨今では、地球温暖化を超えて「地球沸騰化」とも言われるほど暑さが厳しくなっており、工場・倉庫においても空調設備は必須条件になりつつあると感じています。
工場・倉庫は部屋数が少ないため、設備系統そのものは減る傾向にあります。
一方で、大空間・高天井を空調するためには、大型の設備が必要となります。
その結果、設備費の割合は、一般的な事務所と同程度になるケースもあります。
私の感覚では、全体の工事費に占める大まかな設備費の割合は、下記のようになると考えています。
| 建物の種類 | 設備費の割合 |
|---|---|
| 一般的な事務所 | 20%~30% |
| 空調のない倉庫 | 10%程度 |
| 空調のある倉庫・工場 | 15%~30%程度 |
空調設備の有無によって、設備費率は大きく変わります。
空調を設けない倉庫では10%程度に抑えられる一方で、空調設備を備える工場・倉庫では、15%~30%程度になると考えています。
ひと昔前、10年ほど前でいえば、静岡県あたりでは、工場・倉庫を鉄骨造で計画する場合、坪当たり50万円程度で計算していました。
しかし近年は、空調設備の標準化に加え、資材価格・設備機器・人件費などの高騰もあり、工場・倉庫の坪単価は80万円程度で計算しないと、後々問題になるような感覚です。
例えば、延床面積が100坪の場合、下記のような差が出ます。
| 時期 | 計算式 | 総工事費の目安 |
|---|---|---|
| ひと昔前 | 100坪 × 50万円 | 5,000万円 |
| 現在 | 100坪 × 80万円 | 8,000万円 |
このように、同じ100坪の建物でも、想定する坪単価によって総工事費は大きく変わります。
特に昨今の世界情勢を踏まえると、今後さらに建設費が上がっていく傾向も強いと感じています。
建設費の変動が激しい現在では、概算工事費の精度がこれまで以上に求められます。
そのため、設計事務所も設備費を含めたコスト管理について、よりシビアな視点を持つ必要があると痛感しています。
工場・倉庫・事務所の計画においては、建物本体だけでなく、空調や換気、電気設備なども含めた総合的なコスト把握が重要です。
初期段階から設備費の割合を意識することで、事業計画とのズレを減らし、より現実的な建築計画につなげることができます。